健康は、自分で作る
20世紀、医療は、その有史以来の長い歴史のなかで最大の変革を遂げました。
それは、インフォームド・コンセント(以下I・C)という考え方の導入です。
I・Cとは、患者およびその家族が医療者からきちんと病気に対する一連の説明を受け、同意したうえで納得できる治療を行うことです。
わかりやすくいうなら、治療の決定権は医師ではなく患者自身にあるということです。
このI・Cの導入により医療のなかでの医療者と患者の関係が180度変わりました。
これまでは、医療者のいうことであれば、なんでも信じて従わなければならなかったものが、これからは検査を受けるか受けないかということから、治療の選択まで、すべて自分で決められるようになったのです。
つまり、患者さんがプレーヤーで、医療者はサポーターという立場になったのです。
とはいっても、現状を現場で見ていますと、自分で決めることができるようになったというよりは、決めなければならなくなったという捉え方のほうがまだまだ多いような気がします。
医療者は 「とりあえず説明しておく」、患者は「とりあえず同意しておく」といった感じで、なにか手続き的なものになっている気がします。
その原因は、いろいろなことが考えられますが、医療者と患者の両面で分析してみると、医療者は西洋医療という一面的な治療法しか基本的にはもち合わせていないため、治療の選択肢をつくれないでいます。
医療者は、東洋医学をはじめとしたさまざまな医学を学び、医療として実践していく必要があるのではないでしょうか。
また、患者がその権利を行使するためには、権利の取得と同時に発生するはずの義務を行わなければなりません。
しかし、それがなんなのかわからないため、「狐につままれた」状況なのではないでしょうか。
義務を負えば権利が保障されるように、権利が発生した場合、当然義務も発生するのです。
I・Cという権利を行使するためには、患者は、なんらかの義務を果たさなければなりません。
その義務とは、国民一人ひとりが「自分の健康は自分で守る」ということを病気の有無にかかわらず実践していくことではないかと思うのです。
しかし、I・Cの要求する自己責任は、その理念が崇高なだけにレベルは高く、健康、予防の理解はもちろん、病気の知識、そしてそれらを自身の人生に照らし合わせ、治療法を選択していく能力を身につけなければならないのですから一筋縄ではいきません。
まず国民一人ひとりが自分自身の生きがいとはなにかを明確化し、健康の追求の必要性を自覚することが第一歩です。
そして「自分の健康は、自分で守る」術を学び、実践していくことが必要です。
患者が権利を行使できるようにするために、医療者にはもう一つ課題があります。
患者は「自分の健康は自分で守る」術を知らなくて困っているのですから、そこをだれかがどこかで支えなければ、いつまで経ってもI・Cは成就しないのです。
私は、医療者が病院という場所を利用してそれを行うべきではないかと考えています。
すべての医療機関に、予防を目的とする健康支援科が必要なのです。
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