長生きのQOL(生き方の質)を考える
これまでの平均余命(寿命)は、年齢ごとの死亡率(余命推定率)だけのデータをもとに計算されていたので、高齢者の健康状態や「長生きのQOL(生き方の質)」はどうなのかという点に関しては、
たとえば元気にからだを自分で動かすことができるのか、あるいはベッドで寝たきりの生活を送っているのかなど、高齢者の「寿命の質」までは考慮されていませんでした。
この「健康寿命」という考え方は、平均してどの年齢まで健康に暮らしていけるかを示す新しい指標であり、病気でやけがなどで入院・治療を要するなど、健康が損なわれている期間を平均寿命から差し引いています。
また、障害(疾病・傷害)の程度も考慮されており、重い障害で介護を要する期間が長いほど、健康寿命と平均寿命の差は大きく開くことになります。
いまは長寿世界一でも将来は心配がある
世界保健機関(WHO)から2000(平成12)年6月に初めて発表された「国別平均健康寿命」では、加盟191ヶ国(2000年当時)中で日本人の平均健康寿命74.5歳(男性71.9歳、女77.2歳)はダントツの第1位で、世界で最も健康に捷生きできる国と位置づけられました。
また、これも世界第1位である日本の平均寿命は80.9歳(男性76.4歳、女性82.9歳)で、その差6.4歳が要介護など病気やけがなどで行動が制限される期間であると考えられます。
WHOは健康寿命、平均寿命ともに世界一を示した日本人の長寿について「伝統的に低脂肪の食事をとり、心臓病の比率も低いためであろう」と分析する一方で、
1945年(第二次世界大戦)以降に喫煙者が急増したことや、近年は肉など高脂肪の食事が増えているために、とくに男性の平均寿命については「将来、影響を受ける恐れがある」と警告しています。
WHOが初めて発表した国別の健康寿命
日本に続く第2位はオーストラリア(健康寿命で73.2歳、平均寿命79.5歳)、
第3位はフランス(健康寿命73.1歳、平均寿命79.5歳)、
第4位はスウェーデン(健康寿命で73.0歳、平均寿命は不明)、
第5位はスペイン(健康寿命72.8歳、平均寿命78.7歳)で、
1・2位以外のベストテンはいずれもヨーロッパの国々が占めました。
ちなみにアメリカ(健康70.0歳)は24位、中国(健康62.3歳)は81位というランキングでした。
長寿とは反対に、平均健康寿命が短い国の順番では、
第1位がシエラレオネ(英連邦に属するアフリカ西岸にある共和国。1961年独立)の健康寿命25.9歳(平均寿命34.3歳)、
第2位はニジェール(アフリカ北部、サハラ砂漠南部の共和国。旧仏領西アフリカの一部で1960年独立)の健康寿命29.1歳(平均寿命38.9歳)、
第3位はマラウイ(英連邦に属するアフリカ南東部の共和国。1964年独立)の健康寿命29.4歳(平均寿命37.9歳)となっており、
ワーストテンはすべて発展途上国で、乳幼児の死亡率が高く、飢餓に苦しむ国の多いアフリカ諸国でした。
4年連続で平均寿命・平均健康寿命第1位
平成15(2003)年12月にWHOが発表した「2003年世界保健報告」によると、WHO加盟192カ国中、日本は「平均寿命」「健康寿命」の双方で、世界一の座を守りました。
日本の平均寿命は81.9歳(男性78.4歳、女性85.3歳)、平均健康寿命は75.0歳(男性72.3歳、女性77.7歳)となりました。
3年前の同じ調査と比較すると、平均寿命は男性では2.0歳、女性では2.4歳延びて、平均健康寿命が男性では0.4歳、女性では0.5歳延伸しています。
これで日本は4年連続で首位を維持したことになりますが、平均健康寿命の第2位はサンマリノ(73.4歳)、第3位スウェーデン(73.3歳)、第4位スイス(73.2歳)などのヨーロッパ諸国となっています。
平均健康寿命が最も短かった国はシエラレオネ(28.6歳)で、3年前のデータと比較すると2.7歳延びたものの、日本との差は約2.6倍、46歳以上にも及んでいます。
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