人類共通の代謝システムと日本人特有の代謝システム
もう少し広い視野から、私たち日本人の代謝システムについてまとめてみましょう。
人類共通の代謝システムの特徴
(1)血糖値を下げるホルモンはインスリン一つしかありません。
これは人類が飽食に準備できていなあかしい証です。
飢餓に対応できるよう余剰カロリーは、おもに脂肪として蓄えられます。
炭水化物の代謝酵素であるアミラーゼを唾液と膵液の2箇所の消化器官から分泌しています。
通常、同じ酵素を2箇所から分泌することはありません。
それだけ炭水化物(糖質)の摂取を人体が重要視している証でもあります。
これは、生物の行動すべてをコントロールする脳が、炭水化物の最終代謝産物であるブドウ糖しかエネルギー源として使えないことにも関与していると考えられます。
人間の歯は、切歯8本、犬歯4本、臼歯20本という黄金バランスを保っています。
切歯は野菜などの植物性食品を、犬歯は肉などの動物性食品を、臼歯は穀物や豆類などの粒状の食品を食べる菌なので、この同じバランスで食を考え摂取することが大切です。
文明の発達にともなった労働の質の変化により、カロリー要求量の低下、身体的ストレスの低下、精神的ストレスの増大にともなう各栄養素の要求度が変化しています。
人類はこれまで食料を獲得するために労働をし続けてきました。
人類の歴史は、そのほとんどが、肉体労働という身体的ストレスのなかで明け暮れていたといえます。
そして近代西洋文明は、人類をこの肉体労働という身体的ストレスから解放するために、さまざまな労働を機械によりオートメーション化してきました。
その結果、文明は進歩し、便利になり、身体的ストレスは縮小していきました。
というよりも現代文明とは、人類を身体的ストレスから解放するために発展してきたといっても過言ではないでしょう。
そして肉体労働は頭脳労働に代わり、ストレスも身体的なものから精神的なものへと加速度的に移行していきました。
現代社会が私たちにもたらした最大の外的環境の変化は、「身体的ストレスの失調」と「精神的ストレスの過剰」という逆転現象といえます。
しかも、この傾向は今後も続いていくでしょう。
現代人は、この双方のストレスも宿命として受け入れ、対応していく必要があるということなのです。
日本人特有の代謝システムの特徴
(1)米など難消化性の食品に対応できるように腸が長いので、腸環境の維持に配慮を要します。
(2)乳糖を分解する酵素のラクターゼをほとんどの人がもっていません。
(3)インスリンをゆるやかに分泌するため、米などのグリセミック指数の低い難消化性の炭水化物を多めにとることを宿命とせざるをえません。
(4)倹約遺伝子を40%近くの日本人がもっています。
(5)筋肉労働から頭脳労働への移行により、農作業などのレジスタンス運動(静的運動)量が低下し、精神的ストレスが増大しています。
すべての民族、人類共通の身体的特徴や代謝システムの仕組みから見ても、ビタミンなどの副栄養素がいままで以上に要求されるストレス社会の現状から見ても、
欧米食を中心とした現代の食のあり方には常に、カロリーという「栄養過剰」、ビタミンやミネラルなどの 「栄養失調」という問題がつきまとっています。
この「栄養過剰の栄養失調」に加え、私たち日本人は、変えることのできない代謝システムの「宿命」をもっているため、軟食でカロリー過剰の欧米食に順応することができないのは、ここまで説明したとおりです。
つまり、私たちが「変えることができない宿命」を受け入れ、「変えることができる環境」を変えて健康的な未来をつくっていくためには、まず食の環境を変えていかなければならないのです。
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