乳酸菌 − 便秘や下痢の改善、ガンの予防、腸内環境の整備
100兆個の勢力分布が問題

人間の体細胞は成人で約60兆個といわれていますが、腸管には約100種類、約100兆個もの腸内細菌が棲みついており、口から入る食べ物やそのときどきの体調によって、善玉(有用)菌と悪玉(有害)菌のシェア(勢力範囲)が微妙に変化するといわれています。
健康な赤ちゃんの腸内ではビフィズス菌(乳酸菌の一種)などの善玉菌が90パーセント以上を占めるのに対して、病気で寝たきりの高齢者ではウエルシュ菌などの悪玉菌が90パーセント(善玉菌は5パーセント前後)以上と、善玉菌と悪玉菌の割合が逆転してしまいます。
年齢が進むにしたがって、徐々に悪玉菌のシェアも広がり、ガンをはじめとする慢性病にかかる割合が高くなったり、また新陳代謝の速度も落ちるので、しだいに老化が促進されます。
悪玉菌の増殖を抑え、発ガン物質を抽出
乳酸菌が注目されるようになったのは、東欧ブルガリア地方の長寿村を調査したロシアの生物学者メチニコフが、「長寿の秘訣はブルガリア・ヨーグルトにある」と発表し、乳酸菌の一種であるブルガリア菌が一躍クローズアップされたことからです。
その後、牛乳などを発酵させてヨーグルト(発酵乳)を作る、乳酸菌の健康維持・増進効果の研究が一気に進みました。
乳酸菌は乳糖やブドウ糖を分解して乳酸を作る細菌の総称で、
- (1)円筒形をした乳酸梓菌の仲間、
- (2)Y字や棒状の形をしたビフィズス菌の仲間、
- (3)丸い球状をした乳酸球菌の仲間、
の3つに分けちれます。
このうち、(1)の乳酸悍菌と(3)の乳酸球菌の仲間は小腸内に多く棲みつき、食物に含まれる悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。
おもに大腸内に多く棲みついている(2)のビフィズス菌の仲間は、食べ物(内容物)が数日間滞留する大腸内で、悪玉菌の増殖を抑え、悪玉菌が作り出す発ガン物質などの有害物資を吸着して体外に排出する働きをしています。
善玉菌の代表格とされる乳酸菌ですが、実は発酵・醸造食品であるみそや醤油の中にも、ある種の乳酸菌が発見されており、あの辛いキムチ漬けも乳酸菌発酵によって作られています。
食物繊維お少ない肉食は悪玉菌を増やす
悪玉菌が優勢の腸内環境になってしまう代表的な要因は、
- (1)偏った食生活(タンパク質や脂肪の多い肉食中心で、食物繊維の多い野菜が少ない)、
- (2)ストレスの多い生活(過労や睦眠不足は胃酸や腸管の分泌液が少なくなる)、
- (3)病気や抗生物質の使用(ウイルス感染、ガンなどの病気は悪玉菌優勢になる。抗生物質は病原菌ばかりか善玉菌まで殺す)
などがあります。
そこで、外からヨーグルト、乳酸菌飲料、乳酸菌製剤を服用することで、腸内でビフィズス菌などの乳酸菌を増やしていけば、有害物質を発生させていた悪玉菌がいづらくなります。
肝臓の解毒作用を助けビタミンB群を作る
善玉菌優位の腸内環境を作る乳酸菌には、次のような効果が期待されています。
(1)便秘や下痢の予防……乳酸菌の中でもビフィズス菌は乳糖を分解して、大腸内で乳酸と酢酸を作る。
殺菌作用のある酢酸が悪玉菌を撃退し、腸管を刺激して蠕動運動を盛んにする。
(2)ガンの抑制・予防……乳酸菌にはニトロソアミンなど発ガン物質を体外に排出したり、免疫機能をつかさどるNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させてガンを防ぐ働きがある。
(3)ビタミンB群を作る……乳酸菌は有毒物質を発生させる悪玉菌を排除して、肝臓の解毒作用を助けるとともに、腸管でビタミンB群を作るなど、健康な腸内環境を整える働きがある。
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