メシマコブ − 日本で発見、韓国で実用化された抗ガン活性

女島の古桑の木に発見された薬用キノコ
メシマコブは、担子菌類のタバコウロコタケ科キコブタケ属のキノコです。
一般によく知られるサルノコシカケの近縁種で見かけもよく似ています。
メシマコブという名前は、たくさんの野生種の桑が生育していた長崎県男女群島の女島(メシマ)で、コブ状に寄生した野生株が多く見られたことから「メシマ・コブ」とつけられました。
メシマコブの学名、フエリナス・リンテウス・アオシマには、発見者である青島清夫氏の名前が入っています。
近年、養蚕業の衰退によって桑の木が少なくなり、現在では女島でも野生株を見つけることが難しくなっているようです。
担子菌類は植物に寄生して栄養分をもらうキノコですが、メシマコブは桑の古木に寄生して、はじめはコブ状からしだいに扇状に育ちます。
桑の木についたメシマコブの胞子は、糸状の菌糸を伸ばして大きくなると、やがて成長した菌糸が集まって菌糸体を作ります。
さらに菌糸体は目に見える大きさのキノコの笠や軸(子実体)となり、これが食用部分になるのです。
笠の長径が8〜12センチメートル(こぶし大)に育つまでに10年ほどかかり、大きいものでは30センチメートルを超える20〜30年ものもあるといいます。
抗腫瘍活性の比較研究で高い値を示した
中国では桑の木に生えるキノコを、その笠の裏側が黄色いところから、「桑黄(サンファン)」と呼んで、2000年以上前から長く珍重されてきました。
中国の代表的な薬草書『本草綱目』にも、桑黄は慢性病の諸症状に著効があると紹介されています。
1968年、めぼしい担子菌類の薬用キノコを集めて行われた池川哲郎博士(国立がんセンター研究所)らの抗腫瘍活性の比較研究で、メシマコブが非常に高い値を示しました。
その池川博士の研究成果に触発された山名征三医師(広島・西条病院)が、ガン患者の協力を得て行った臨床投与試験においても、すぐれた抗ガン作用が確認されたのですが、
当時は野生の桑の木が激減して、野生のメシマコブが入手困難であったこと、人工栽培が難しいなどの理由で、せっかくの研究が中途で頓挫するという憂き目を見ることになります。
韓国での取り組みは国家的プロジェクト
その後、貴重な日本での研究成果をもとに、韓国での開発研究が開始されるとともに、メシマコブの菌糸体の培養技術が完成したのです。
そして、産学共同の薬理研究が科学技術省主管の国家的プロジェクトとして推進されることになり、そこで関東されたメシバコブエキス製剤が1993年に韓国政府から抗ガン剤として認可されました。
この開発研究は韓国内で高く評価され、とくに功績のあった韓国生命工学研究所の愈益東博士は、韓国のノーベル賞ともいわれる1998年度の茶山技術賞を受けています。
抗がん剤との併用で、すぐれた治療効果
韓国ではメシマコブという名前は使いません。
しばらく前までは中国名の桑黄(サンファン)で呼ばれていました。
現在では学名の「フエリナス・リンテウス」の頭文字のPLをとり、日本・韓国から集めた13種類のメシマコブ菌糸体の中から、最も変異のない菌株にPL2株、PL5株という名前をつけました。
人工培養に成功したPL2株、PL5株から熱水抽出したエキスを、PL2、PL5と呼んでいます。
韓国では抗ガン作用のある医薬品として、おもに抗ガン剤との併用で使われており、すぐれた治験成績がいくつも報告されています。
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